千葉核医学技術研究会
技術情報・基礎編
Tl-201のエネルギーウィンドウ(TEW以前)

Tl-201の場合、69,71,80,83keVのHg-201の特性X線と135,167keVのガンマ線が存在する。
1)Tl-201点線源をdetectorの上に置いて、SPECTRUMを得た。
  散乱体を置かずに距離0cm、10cm。
  散乱体(アクリル板厚さ10cm)の上に点線源、さらにその上に5cmの散乱体。
  SPECTRUM上に2種類のエネルギーウィンドウを重ねた。
  70keV20% 166kev14%
  75kev32% 166keV14%
実験1

70keV20% 散乱体なし 距離0cm
スペクトラム
75keV32% 散乱体なし 距離0cm
スペクトラム


70keV20% 散乱体なし 距離10cm
スペクトラム
75keV32% 散乱体なし 距離10cm
スペクトラム


70keV20% 散乱体あり 距離10cm
スペクトラム
75keV32% 散乱体なし 距離10cm
スペクトラム
70keV20%では、80keV台の特性X線がカウントされないことがわかる。 80keV台の特性X線は、当然、散乱線ではなく、Tl-201原子から放出された一次線であり、これをカウントしても、画質は劣化しないはずである。


2)線線源を撮像して総合分解能(FWHM)を測定した。散乱体なし&ありで。
70keV20% 散乱体なし 距離10cm
FWHM FWHM:8.07mm
75keV32% 散乱体なし 距離10cm
FWHMFWHM:8.02mm


70keV20% 散乱体あり 距離10cm
FWHM FWHM:12.55mm
75keV32% 散乱体あり 距離10cm
FWHMFWHM:12.49mm

70keV20% 75keV32%
散乱体なし 8.07mm 8.02mm
散乱体あり 12.55mm 12.49mm

ウィンドウの違いによるFWHMの差は測定誤差範囲内と思われた。

3)相対感度
  直径10cmのファントムにTl-201水溶液(約30cc)を入れ、
  距離10cmで5分間収集。散乱体なし&ありで。
実験3
収集終了時刻 カウント 減衰(残り%) 補正後カウント
70keV20%散乱体なし 16:54 2519799 99.48 2533009
75keV32%散乱体なし 16:49 2990224 99.55 3003615
70keV20%散乱体あり 16:21 807695 100 807695
75keV32%散乱体あり 16:42 936321 99.67 939442

散乱体なしの場合
75keV32%は70keV20%の1.186倍のcountが得られる

散乱体有りの場合
75keV32%は70keV20%の1.163倍のcountが得られる

「標準的な核医学プロトコール」(1994年 第3次改訂)
(社)日本アイソトープ協会医学・薬事部会
核医学イメージング規格化専門委員会には
「69-80keVのエネルギーを含む25keV幅のウィンドウで撮像する」
と書いてあります。
75keV×0.32=24keVです。


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