部分容積効果 Partial Volume Effect (プラナー編2)
放射能濃度が同じでも、面積が大きくなると、countは大きくなる(部分容積効果)。
では、面積が大きくなればなるほど、上限無くcountは大きくなっていくのだろうか?
実験してみた。
detectorとの距離0cm、および10cmで次の線線源を撮像し、profile curveを得た。
線線源2本 10cmの間隔 線線源1本
線線源4本 10cmの間隔 線線源1本
線線源6本 10cmの間隔 線線源1本
線線源8本 10cmの間隔 線線源1本
線線源10本 10cmの間隔 線線源1本
線線源は重ならないように並べた。また、全ての線線源の放射能濃度は同じである。
profile curve それぞれ、図の中で右にあるcurveは1本線線源のもの。
| 距離0cm | 距離10cm |
2本線線源 |
| |
4本線線源 |
| |
6本線線源 |
| |
8本線線源 |
| |
10本線線源 |
| |
1本線線源とのcount比をグラフにした。
この実験から次のことが言える。
- 線線源の数を増やすと、放射能濃度が同じでもcountは増えていく(部分容積効果)が、それには上限がある。
- 距離が離れているとき(分解能が悪いとき)の方が、部分容積効果は大きい。
理 論
部分容積効果・理論編で述べたように、部分容積効果はprofile curveがPSF(この実験の場合はLSF)であること、すなわちすそに広がりをもつことに起因する。
だから、並べた線線源の幅が、1本線線源LSFのすその広がり以上の幅になると、それ以上はcountは増えない。(下図)
本来なら、距離0cmの方がLSFの幅がせまいので、より少ない本数でプラトーに達すると思われたが、この実験では、そこまで厳密な現象を表現できなかった。それとも4本の時点ですでにプラトーなのかも?
また、分解能が悪いと、すなわちLSFのすその広がりが広いと、そのぶん部分容積効果は大きくなる。
もし、完璧に理想的な核医学検査装置があれば、profile curveは矩形波となる。
だがそんな核医学検査装置はありえず、実際にはすその広がりをもったPSF(Point Spread Function)やLSF(Line Spread Function)となる。
そして、上図のように、分解能が悪いほど(すそが広がるほど)、ピークは下がる。
つまり、分解能が悪ければ悪いほど、真のcount値より低いcountしか得られないわけである。
部分容積効果・理論編の図のように、線源が並ぶことにより、PSFやLSFが重なり合うことによって、真のcount値に近づいていくわけである。
分解能が悪いほど、1個の点線源・1本の線線源のPSFやLSFのピークが低く、真のcount値との差が大きいため、部分容積効果が大きくなるのである。
技術情報・基礎編に戻る
メインに戻る
(c)Copyright 2002,The Society of Nuclear Medicine Technology in CHIBA